平成27年度陸上貨物運送事業夏期労働災害防止強調運動実施要綱
1趣旨
最近の陸上貨物運送事業における労働災害の発生状況をみると、死亡災害は増減をくり返しながらも着実に減少し、平成25年には107人と過去最少となるなど、近年大きく減少してきている。しかしながら、平成26年の死亡災害は、前年に比べ23.4%の大幅な増加となった。
一方、死傷災害は、近年横ばいから増加傾向となっているものの、平成26年は14,210人で対前年比0.1%の増加となっており、平成22年から平成25年まで4年連続での増加に歯止めがかかりつつある。
本年度は、平成25年度から始まった「陸上貨物運送事業労働災害防止計画」(平成25年度~29年度)の中間年度であり、本計画の目標である
・死亡者数を5年間で20%以上減少させる。(平成24年134人→平成29年105人以下に)
・死傷者数を5年間で10%以上減少させる。(平成24年13,834人→平成29年12,400人以下に)
・過重労働による健康障害を防止する。腰痛症を減少させる。
の達成に向け、労働災害防止に一層取り組む必要がある。
特に、死傷災害の減少を図るため、同災害の約7割を占める荷役災害の防止を重点とし、平成25年3月に厚生労働省が策定した「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(以下「荷役ガイドライン」という。)」を踏まえた取組を一層推進する必要がある。
また、厚生労働省・各労働災害防止団体主唱の「STOP!転倒災害プロジェクト2015」及び平成27年3月に厚生労働省労働基準局安全衛生部長より要請があった「交通労働災害防止対策の推進にかかる要請について」を踏まえた取組みも求められている。
このような取組を推進するに当たって、各企業・事業場においては、労働安全衛生関係法令を遵守することはもとより、職場の安全衛生管理体制を確立して適切に機能させるとともに、経営者と従業員が一致協力して自主的な安全衛生活動を継続的・効果的に行っていくことが何より重要である。このため、職場に潜む危険の芽を事前に摘み取ってリスクの低減を図り、安全度の高い職場の実現を目指す取組である危険予知トレーニング(KYT)、リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステム等の定着を図っていく必要がある。
以上を踏まえ、
「手順書は危険回避の道しるべ!」
をスローガンに、全国安全週間(7月1日から7日まで)の実施と相まって、7月1日から31日までを平成27年度の夏期労働災害防止強調運動期間として、労働災害防止に向けた経営トップの固い決意の下、各職場において、労働災害防止の重要性について認識をさらに深め、労働災害防止のために以下の取組を行うこととする。
2実施期間
平成27年7月1日(水)から7月31日(金)まで
3スローガン
(1)陸上貨物運送事業労働災害防止協会スローガン
「手順書は危険回避の道しるべ!」
(平成26年度安全衛生標語荷役部門入選作品)
(2)全国安全週間スローガン
危険見つけてみんなで改善意識高めて安全職場
4主唱者
陸上貨物運送事業労働災害防止協会の本部及び各都道府県支部
5後援
厚生労働省
6実施者
会員事業場
7主唱者の実施事項
(1)本部の実施事項
支部が行う交通事故・労働災害防止大会等の開催、陸運災防指導員等による個別指導・集団指導、安全パトロール等の実施、安全研修会等の実施、陸運災防指導員会議等の開催、街頭宣伝活動等の広報活動の実施等について、次の各事項に留意の上支援・協力を行う。
なお、死亡災害の発生水準が高い支部や労働災害の増加が懸念される支部等に対しては、本部・支部一体となった効果的な取組に努める。
イ.「職場の安全衛生自主点検表」(別添)を活用し、「荷役ガイドライン」に基づく取組及び「陸上貨物運送事業労働災害防止規程」の周知徹底に努める。
ロ.リスク低減の取組を推進するため、危険予知トレーニング(KYT)、「リスクアセスメントイラストシート」を活用してのリスクアセスメント、「陸運業における労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」(RIKMSリクムス)等の周知・普及に努める。
ハ.行政機関の協力も得ながら荷主等との会議を開催する支部を支援する。
ニ.荷役災害防止のための「荷役安全作業マニュアル」や「荷役安全設備マニュアル」の周知・徹底、「フォークリフトの作業開始前点検の進め方」(DVD)の周知・普及に努める。
ホ.「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」や「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知・徹底、「高年齢者に配慮した交通労働災害の防止対策」の周知・普及に努める。
ヘ.都道府県労働局、公益社団法人全日本トラック協会等関係行政機関、団体等に対し本運動の実施について協力依頼を行う。
ト.陸災防通信、広報誌「陸運と安全衛生」、ホームページ等により、本運動の趣旨及び実施事項等について周知・徹底を図る。
チ.安全ポスター、のぼり等の作成・配布により、本運動の気運の醸成を図る。
(2)支部の実施事項
都道府県労働局・労働基準監督署、都道府県トラック協会等関係行政機関、団体等の支援・協力を得て、次の取組を行う。
イ.交通事故・労働災害防止大会等の開催、陸運災防指導員等による個別指導・集団指導、安全パトロール等の実施、安全研修会等の実施、陸運災防指導員会議等の開催、街頭宣伝活動等の広報活動の実施等を以下に留意のうえ行う。
(イ)「職場の安全衛生自主点検表」を活用し、「荷役ガイドライン」に基づく取組及び「陸上貨物運送事業労働災害防止規程」の周知、徹底に努める。
(ロ)支部役職員、陸運災防指導員等による個別指導・集団指導、安全パトロールを実施するに当たっては、「職場の安全衛生自主点検表」を活用する。
(ハ)陸運災防指導員会議等において、死亡災害要因分析シート、交通労働災害防止のためのリスクアセスメントチェックシート、過重労働防止を重点とする交通労働災害防止点呼シート等を活用した効果的な取組を進める。
(ニ)荷役ガイドラインを踏まえ、荷主等との連携を図るため、製造業関係の団体を通じて荷主等の実施事項を周知するとともに、行政機関の協力も得ながら、荷主等との会議を開催する。また、荷主に対する協力要請については、関係行政機関の協力が得られるよう要請を行う。
(ホ)平成27年1月22日付け陸貨災防発第247号「STOP!転倒災害プロジェクト2015」の実施について」に基づく6月の重点取組期間に引き続き、本運動期間中もリーフレット等を活用して周知啓発に努めること。
(へ)平成27年3月31日付け陸貨災防発第263号「交通労働災害防止対策の推進にかかる要請について」に基づき、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」や「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知と会員事業場における同ガイドラインに基づく交通労働災害防止対策の推進を図る。また、「高年齢者に配慮した交通労働災害の防止対策」の周知に努める。
(ト)「荷役安全作業マニュアル」や「荷役安全設備マニュアル」の周知、「フォークリフトによる安全な荷役運搬作業」(DVD)、「フォークリフトの作業開始前点検の進め方」(DVD)の活用による安全な荷役作業の徹底に努める。
(チ)先取り型の安全衛生対策として、「リスクアセスメントイラストシート」(図書)等を活用したリスクアセスメントの手法の周知・普及、「こうすれば導入できる労働安全衛生マネジメントシステム」(図書)等を活用した労働安全衛生マネジメントシステムの周知・普及を図る。
ロ.広報誌、ホームページ等により本運動の趣旨及び実施事項等の周知徹底を図る。
ハ.安全旗の掲揚、安全ポスター・のぼり等の掲示を行う。
8会員事業場の実施事項
イ.経営トップは、労働災害防止のためにその所信を明らかにするとともに、自らが職場の安全点検等を行い、労働災害防止について従業員への呼びかけを行う。
ロ.安全管理者、安全衛生推進者等は、本運動期間中「職場の安全衛生自主点検表」(別添参照)
により職場の安全衛生点検を行う。
ハ.安全旗の掲揚、安全ポスター・のぼり等の掲示を行う。
ニ.全国安全週間に係る行事を実施する。
(注)「職場の安全衛生自主点検表」については、陸災防通信、広報誌「陸運と安全衛生」平成26年6月号や協会のホームページから入手することができます。
(参考リーフレット等)陸災防ホームページに掲載
○陸上貨物運送事業労働災害防止計画(平成25年度~29年度)
○荷役作業安全ガイドラインの解説及び荷役作業安全ガイドラインのあらまし
○陸運業の労働災害を防止しましょう~新しい「陸上貨物運送事業労働災害防止規程のあらまし」~
○安全作業連絡書の活用を!
○荷役作業時の労働災害を防止しましょう
~荷役作業時における墜落・転落災害防止のための安全マニュアル~
○荷役作業を安全に
~荷役作業時における墜落防止のための安全設備マニュアル~
○荷主等における荷役災害防止設備等の事例集
○「交通労働災害防止のためのガイドライン」のポイント
○交通労災防止のための新しい安全衛生管理手法のすすめ
~ITを活用したリアルタイム遠隔安全衛生管理手法~
○STOP転倒災害!リーフレット
(参考図書及び用品)
○フォークリフトの安全Q&A50(平成24年3月発行図書)
○交通労働災害防止のためのガイドライン解説書(平成23年3月発行図書)
○「手順書は危険回避の道しるべ!」というスローガンによる安全ポスター(№68)を新たに作成し、1部200円(送料別)で頒布する予定です。詳しくは、当協会のホームページを御覧ください。